2027年度(新制度)の埼玉県公立高校入試「面接」の全体像

前回の記事では、令和9年度(2027年度)から大きく変わる埼玉県公立高校入試の全体像を解説しました。

今回はその続きとして、
新たに導入される「面接」について、公式資料をもとに詳しく解説していきます。
引用元 埼玉県教育委員会HP
「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における面接について」https://www.pref.saitama.lg.jp/f2208/r9nyuushi_mensetsu_shikoujirei.html
なぜ「全員面接」になったのか
まず押さえておきたいのは、そもそもどういう意図で面接が全員対象になったのかです。
これまでの入試では、
- 学力検査
- 調査書(内申)
が中心でした。
しかし、不確実性が増していくこれからの時代においては、それだけでは測りきれない力があります。
それが、
「主体的・協働的な学びの力」
「自らの人生や社会の未来を切り拓く力」
です。
こうした力も含めて評価していこうという目的で、面接が実施されることになりました。
「主体的・協働的な学びの力」
これまでの自身の活動を振り返りながら、持続可能な社会の作り手となるために、主体的・協働的に学び続ける意欲を持っているか
「自らの人生や社会の未来を切り拓く力」
自分のよさや可能性を認識し、あらゆる他者を価値のある存在として尊重しながら、自らの人生や社会の未来を切り拓こうとしているか
要は、勉強以外の部活動やクラブ活動なども含めて、
目の前のことに対してどれだけ考えながら、
意欲的に行動してきたかを面接で見られるわけです。
内申点の役割も変わる
ここも大きな変更点です。
これまで評価されていた
- 部活動の実績
- 委員会活動
- 資格や検定
といった内容は、調査書の評価には直接反映されなくなります。
その代わりに、面接で評価される形に変わりました。
つまり、「何をやったか」ではなく「どう取り組んできたか」が重視されるようになったわけです。
試験全体の流れ
流れ自体はシンプルです。
出願(1/26〜2/9)※自己評価資料も提出
↓
学力検査(2/25)
↓
面接(2/26)
面接の形式は
- 個人面接
- 集団面接
のいずれか(高校ごとに異なる)です。
自己評価資料について
自己評価資料は、以下のような形式で面接のときに使うための「補助的な資料」です。

部活動で頑張ってきたことや、委員会活動、学校生活の中で取り組んできたこと、資格や検定に向けて努力したことなどを、自分の言葉で書いていきます。
ここで大事なのは、自己評価資料そのものは点数には入らないという点です。
ただし、面接ではこの内容をもとに質問がされるため、「何を書くか」で面接のやりやすさが大きく変わります。
具体的に書く内容としては
- これまで頑張ってきたこと
- 興味を持っていること
- 苦労したこと
- うまくいかなかった経験、そこから学んだこと
- 将来やってみたいこと
などについて整理していき、「これまでの自分」と「これからの自分」を振り返りながら言葉にしていきましょう。
書くときに気をつけてほしいのは、文章のうまさや長さ、字のきれいさは評価の対象ではないということです。手書きでもパソコンでも構いません。あくまでも面接での様子や発言が評価の対象となります。
面接当日は2パート構成
面接当日の流れは、次のとおりです。
[形式]
個人面接 or 集団面接
[流れ]
入室
↓
My Voice(マイボイス)《1分30秒~2分程度》
↓
質問・応答 《3分30秒~6分程度》
↓
退室
※時間は、1人当たりの目安の時間
評価方法
評価の仕方については、「My Voice」・「質問・応答」の時間で受験生が話した内容から、以下の力を「3〜5」の3段階でそれぞれ評価していきます。
- 「主体的・協働的な学びの力」
- 「自らの人生や社会の未来を切り拓く力」
- 各高校が定めた「学校独自項目」に記載された力
これらをもとに点数が算出されます。基本的には、面接を30点満点としている高校が多いですが、一部の高校では点数配点が違います。
My Voice(約1分半〜2分)
ここが今回の入試の一番のポイントです。
My Voiceとは、これまでの経験を振り返り、力を注いだことや将来取り組んでみたいことなどを、自らの言葉で表現して伝える時間のことです。
何を話せばいいのか(具体例)
「My Voice」のテーマは自由です。
- 何に取り組んできたか
- 心が動いた瞬間は何か
- なぜそれが大切だったのか
- 何を学んだのか
- これからどうしたいか
こういった問に対して自分で語ることが求められます。
以下、具体例です。
例①:ピアノを通じて学んだことについて
私が今までの人生で力を入れてきたことの 1 つにピアノがあります。もともとは、幼稚園生の頃 に親の勧めでエレクトーンを始めたのですが、そのあと小学校でピアノに心を惹かれ、ピアノを始め るようになりました。その時、小学校ではピアノ伴奏をできる音楽祭があったので、音楽祭でピアノ の伴奏をするということが目標になっていました。
しかしとてもピアノが上手い友人がいたことで、なかなかオーディションで勝つことができず、一時 はやめてしまいたいとも思うようになりましたが、それでも目標に向かってピアノを続けました。
中学校に入るとクラスが増えたことによって、そのピアノの上手い友人とは別のクラスになり、僕が ピアノの伴奏できるようになりました。そうして 3 年間ピアノ伴奏を続ける中で、クラスメイトやクラス の担任から「ありがとう」と感謝をされることが多くなりました。その時僕は「あぁ、夢を追い続ければ いつか叶うんだな」と思うようになりました。
この高校に入ってからも、夢を追い続けて理想の自分を目指していきたいと思っています。
引用元:令和9年度埼玉県公立学校入学者選抜 面接に係る「My Voice」試行事例
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/280253/01-myvoice-sikojirei.pdf
例②:保健委員会活動を通して成長したことについて
私が中学校で頑張ったことは、委員会活動です。1、2 年を通じて保健委員会に入り、2 年 生のときに委員長として活動しました。私がこの活動を通して身についたと思う力は、周りの状況を把握する力、思考を転換する力です。
保健委員会では、毎日の健康観察と、定期的に石鹸と消毒液の補充を行いました。日々、 生徒の体調に問題がないか、周りをよく見て過ごしていました。また、積極的に石鹸や消毒液が なくなっていないかを確認するように心がけていました。
ある時、石鹸がないことに困っていた生徒を見かけました。私はこのとき、自分たちの活動が役に立っていることを感じると同時に、与えられたことはしっかりやらなければならないと思いました。そのあと、これらの活動により、周りをよく見ることの大事さを学びました。
さらに、これらの活動に加えて、全校生徒の前で保険に関連したテーマを発表する学校保健委員会での活動を頑張りました。人前で話すことが苦手だったため、初めは困惑していました。しかし、考え方を変え、生徒に健康に関する知識を身につけてもらいたい、という目的意識を持つようにしてみた結果、人前で堂々と発表することができました。考え方を変えるだけで、自分が苦手だとしていたこともできるようになるんだと学びました。そして、このことを学んだことにより、自分の 抱える不安と上手く向き合えるようになってきました。
私は、中学校生活を通して身についた力を高校生活でも活かせるようにし、責任を持った行 動をしていきたいです
引用元:令和9年度埼玉県公立学校入学者選抜 面接に係る「My Voice」試行事例
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/280253/07-myvoice-sikojirei.pdf
面接で一番見られるポイント
面接で評価されるポイントは、実績ではなく「プロセス」です。
これまでは、たとえば全国大会に出たという事実そのものが評価されていましたが、これからは「どのように努力してそこに至ったのか」という過程が重視されます。
NG:
「全国大会に出ました」
OK:
「うまくいかない時期があり、試合でもミスが続いていました。その原因を考えたときに、自分はただ練習をこなしているだけで、何を意識すべきかを考えずに取り組んでいたことに気づきました。
そこで、練習の中で「今日は何を改善するのか」を毎回決めて取り組むようにしました。また、うまくいかなかったプレーについては、その場で終わらせるのではなく、なぜ失敗したのかを考えるようにしました。
このように取り組み方を変えたことで、少しずつプレーの質が上がり、自信を持って試合に臨めるようになり、結果として勝つことができました。」
この違いは、
「主体的・協働的な学びの力」
「自らの人生や社会の未来を切り拓く力」
を表すエピソードを具体的に書けているかどうかに現れています。
質問・応答は“深掘り”
My Voiceのあとには、面接官との「質問・応答」があります。ここでは、受検生が話した内容について、さらに詳しく聞かれます。
質問の中心になるのは、「何をしたか」そのものよりも、「なぜそうしたのか」「そのとき何を考えていたのか」といった部分だと想定されます。
たとえば、My Voiceで「部活動を頑張りました」と話した場合、
- 「その中で特に大変だったことは何ですか」
- 「なぜそれを乗り越えようと思ったのですか」
- 「そこから何を学びましたか」
といった質問が想定されます。つまり、表面的な出来事を確認するのではなく、その人の考え方や向き合い方を見ようとしているわけです。
ここで詰まってしまう人は少なくないだろうと予想できます。
理由はシンプルで、自分である程度考えを整理できていないと、想定質問を準備できなかったり、想定外の質問に対応できないからです。
友達や親、学校の先生や塾の先生に自分の用意したMy Voiceに対して質問をしてもらい、いろいろな角度から聞かれても答えられる状態を作っておくと安心です。
また、この質問・応答で大切なのは、完璧に答えることではありません。
大事なのは、自分なりに考えてきたことを、自分の言葉で伝えようとすることです。少し言葉に詰まっても構いません。
むしろ、暗記した文章をそのまま話すよりも、その場で考えながらでも自分の言葉で答えているほうが伝わることもあります。
まとめ
2027年度(新制度)における面接は、これまでの埼玉県公立高校入試とは大きく性質が異なります。
これまでは、点数や内申で評価される入試でしたが、これからは「どのように考え、どう行動してきたか」まで見られる入試になります。
面接で大切なのは、実績の大きさでも、話す上手さでもありません。
「自分の経験を、自分の言葉で説明できるか」です。
そのためには、自己評価資料で自分の経験を整理し、My Voiceで何を話すかを考え、「なぜ?」に答えられる状態を作っておくことが重要になります。
今回の面接は特別な対策が必要な試験というよりも、「これまでどう過ごしてきたか」「自分なりにどう考えてきたか」がそのまま出る試験です。
次の記事では具体的に自己評価資料やMy Voiceの作り方を解説していきます。