埼玉県公立高校入試はどう変わる?2027年度(新制度)入試の仕組みと注意点

※2026年1月22日更新

現在(2026年1月時点)の中学3年生は、来月にこれまでの制度による最後の埼玉県公立高校入試を迎えます。

一方で、現在の中学2年生からは、埼玉県公立高校入試のルールが切り替わります。

つまり、今の中学2年生は「新制度で最初に受験する学年(新制度一期生)」という立場になります。

この記事では、現在(2026年1月時点)の中学2年生のお子様がいらっしゃる保護者様向けに、令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜(以下、R9年度入試と略)の仕組みと変更点を解説していきます。


目次

【結論】現在の中学2年生からの埼玉県高校入試はこうなります

どういう入試方式になるのか、結論からお伝えします。まず全体像から確認していきましょう。
埼玉県の公立高校入試は、以下の「3つの要素」の合計点で合否が決まります。

  1. 学力検査(当日のテスト)
  2. 調査書(評定のみが対象)
  3. 面接(全員必須)

細かい配点や比率は高校ごとに異なります。たとえば、所沢北高校普通科や川越女子高校の場合、以下のような配点になります。

【例】所沢北高校(普通科)の第1次選抜の配点

配点
学力検査500点(国・数・英・理・社の5教科各100点、英・数は学校選択問題)
調査書300点(中学3年間の内申点。中1:中2:中3=1:1:3の比率にして計算)
面接30点
合計830点満点


【例】川越女子高校の第1次選抜の配点

配点
学力検査800点(国・数・英が各200点、理・社が各100点、英・数は学校選択問題)
調査書360点(中学3年間の内申点。中1:中2:中3=1:1:2の比率にして計算)
面接30点
合計1190点満点

R7年12月時点
令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の選抜実施内容(暫定版)より
https://www.pref.saitama.lg.jp/f2208/r9nyuushi-senbatsuzisshinaiyou.html

※「第1次選抜」についての詳細は後述しますが、その高校の募集人員の過半数(60%~80%)が決まるメインの選抜方式です。

基本は、学力検査・調査書・面接の3要素で評価する、という大枠はすべての公立高校に共通しています。ただ、上記の例を見て頂くと分かる通り、学校によって配点が異なります。

次に、各入試の概要について、変更点と合わせて詳細に解説をしていきます。


ここからが重要|新制度の詳細と主な変更点

① 学力検査(当日のテスト)

学力検査の概要

学力検査は、国語・数学・社会・理科・英語の5教科です。全員が、令和9年2月25日に同じ問題を解きます。

ただし、浦和・大宮・川越・所沢北などの上位校では、数学・英語について、「学校選択問題」と呼ばれる難易度の高い別問題が出題されます。

基本の配点は、国語・数学・社会・理科・英語の5教科各100点満点となります。

ただしこちらも、学校によっては、「英語・数学の得点を2倍」「数学・理科の得点を2倍」などの傾斜配点を設定している場合があります。

同じ5教科でも、「どの教科がどれだけ重く評価されるか」は高校ごとに異なる、という点は必ず押さえておきたいポイントです。

次に学力検査における、現行制度からの変更点を挙げていきます。

変更点❶ マークシート方式の導入

学力検査は、問題の約9割がマークシート方式に変更となります。一部、記述問題は残りますが、これまでよりも選択式の問題の割合が高くなります。

変更点❷ 国語の作文が廃止

これまで埼玉県公立入試の国語といえば、資料を読み取って自分の意見を書くような作文の問題が特徴的でした。

配点も12点分と大きかったのですが、R9年度入試からは作文の問題はなくなります


② 調査書(いわゆる内申点)

埼玉県の高校入試を考えるうえで重要なのが調査書です。埼玉県では、中学3年生の成績だけでなく、中学1年生・中学2年生の成績も合否判定に使われます

調査書の点数は、

  • 9教科 × 5段階評定
    この数値のみで決まります。

中1・中2・中3それぞれの評定を、高校ごとに定められた比率(例:1:1:3、2:2:3など)で合算します。なお、先ほど説明したとおり、中1から中3の配点の比率は学校ごとに異なりますので、注意が必要です。

9教科の内訳は、国・数・英・理・社の主要5科目の他に、美術・音楽・保健体育・技術家庭科の副教科4科目です。

なお、中3の評定については、3学期制の中学校なら中3の2学期末の期末テストまでが、2学期制の中学校なら「前期」の成績に、可能な限り「後期」の成績を加えて判定します。

変更点❸  調査書の点数に課外活動が入らない

これまでは調査書の点数に、

  • 英検・漢検などの検定
  • 部活動の実績
  • 生徒会・委員会活動
  • 出席日数

などの活動が点数に加算されていました。

しかし、R9年度入試からは、「通知表の評定=調査書点」という仕組みになり、課外活動による加点はなくなりました。

結果として、通知表の成績の重みが、よりストレートに合否に影響する入試になったといえます。

一応、「自己評価資料」という面接で使うエントリーシートのようなものが導入され、そこに「中学校生活で力を入れたこと」を書くことはできます。ただし、自己評価資料は、内申点そのものに加点されるわけではないという点は注意が必要です。


③ 面接(R9年度入試から全員必須)

令和9年度入試(2027年度)から、すべての受験生に面接が実施されます。

面接は、学力検査や内申点では測れない、

  • 学習への姿勢
  • 高校生活への意欲
  • これまでの取り組みの中身

を確認するためのものです。

数字だけではなく、「どういう姿勢で高校生活を送ろうとしているか」を見る仕組みが、明確に加わったと考えるとよいでしょう。

変更点❹  全員面接と「自己評価資料」の作成

これまでの入試では、面接は一部の高校のみで実施されていました。しかし、R9年度入試からは、すべての高校で全受験生が面接を受けることになります。

面接では、事前に自己評価資料を提出します。

この自己評価資料をもとに、面接官が、

「ここに書いてある部活動の経験について、もう少し詳しく教えてください」
「高校でやりたいことについて具体的にどう考えていますか?」

といった質問を投げかけます。

つまり、自己評価シートに書いた内容が、そのまま面接での会話の中心になります

また、面接の冒頭に「My Voice(マイボイス)」という、自分の思いを自分の言葉でプレゼンする時間が設けられます(1分半〜2分程度)。 受験生は、この自己評価資料に書いた内容(過去の努力や将来の展望など)をベースにして、自分の言葉で発表を行います。

ただし、注意点として、自己評価シートそのものは採点対象ではありません。あくまでも資料は「面接の参考にする」だけであり、「資料そのものは点数化(評価)しない」というルールになっています。

つまり、R9年度入試からは自分が中学校生活でやってきたことを言語化する力が求められることになります。


補足|第1次選抜と第2次選抜とは何か

※第1次選抜や第2次選抜という制度はこれまでもあった制度ですので、ご存知のかたは読み飛ばして頂いて構いません。

「一次選抜」「二次選抜」と聞くと、試験が2回あるように聞こえますが、「試験は1回だけ、合否判定のチャンスが2回ある」という仕組みになっています。

受検生がやることはシンプルで、学力検査の試験日に高校に行って試験を受け、翌日に面接を受けるだけです。 その後、点数を計算して以下の手順で合否が決まります。

ステップ1:まずは「第1次選抜」で合否が決まる。

•全受験生を、その高校が決めた「第1次選抜の計算式」で点数化し、上から順に並べます。定員の60%~80%(学校による)がここで合格となります。

特徴として、 多くの学校で、調査書(内申点)と当日点のバランスが良い「標準的な配点」が使われます。

ステップ2:漏れた人で「第2次選抜」を行う(敗者復活戦のようなイメージ)

第1次選抜で合格ラインに入らなかった受験生だけを残します。

今度は、計算式(配点)を変えて、「第2次選抜の計算式」で再度点数を計算し直し、順位を並べ替えて、残りの定員(20%~40%)の合格者を決めます。

特徴としては、「当日の試験の点数」を重視する学校が多いです。内申点が低くても、当日高得点を取ればここで逆転合格できる可能性があります。

【例】所沢北高校(普通科)の場合

実際に、第1次選抜と第2次選抜で「モノサシ」がどう変わるか見てみましょう(令和9年度暫定版データより)。

選抜区分合格枠学力検査の点数調査書の点数重視されるポイント
第1次選抜定員の60%500点300点バランス型
第2次選抜定員の40%500点200点当日点重視型

※面接の点数はどちらも30点で変わりません。第1次選抜と第2次選抜で面接の点数は変わらないことが多いですが、一部の学校では配点が変わることもあります。

なお、第1次選抜と第2次選抜で合格発表日も同じため、「1回のテスト結果を、2通りの計算式で評価してもらえる制度」と考えていただければ間違いありません。


高校の選抜実施内容で特に注意して見るべき4つのポイント

各高校の選抜実施内容が2025年12月に暫定版で公開されています。

令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の選抜実施内容(暫定版)
https://www.pref.saitama.lg.jp/f2208/r9nyuushi-senbatsuzisshinaiyou.html


すでに志望校が決まっている保護者様向けに、見るべきポイントを4つご紹介します。


チェックポイント1|内申点の比率はどうなっているか

第一次選抜における、中1・中2・中3の成績がどういった比率になっているかを確認しましょう。

この比率によって、

  • コツコツ積み上げ型が有利な学校
  • 中3重視で挽回しやすい学校

に分かれます。

チェックポイント2|傾斜配点はあるか

数学・英語などが2倍になるかどうかを確認しましょう。

得意科目がそのまま武器になるのか、バランス型が求められるのかが変わります。

チェックポイント3|学校選択問題の実施校か

志望校が学校選択問題を採用している場合、試験問題が難しくなるので、そのための準備も必要になります。
※学校選択問題は上位校で採用されている応用問題を含んだ試験問題です。英語と数学で実施されます。

なお、R8年度において学校選択問題を採用している学校は次の22校になります。

浦和高校浦和第一女子高校浦和西高校大宮高校
春日部高校川口北高校川越高校川越女子高校
川越南高校熊谷高校熊谷女子高校熊谷西高校
越ケ谷高校越谷北高校所沢高校所沢北高校
不動岡高校和光国際高校蕨高校川口市立高校
さいたま市立大宮北高校さいたま市立浦和高校

チェックポイント4|第一次選抜の割合

多くの学校で、第1次選抜の割合は60%または70%となっています。ただし、浦和第一女子高校、所沢西高校、所沢中央高校といった高校では第1選抜の割合が80%になっています。

第1次選抜の割合が大きい場合は、第一次選抜の計算方法で合格できそうかが重要なポイントになります。

具体例|所沢高校と所沢北高校で見てみると

では実際に所沢周辺の代表的な2校を例に、先ほどの3つのチェックポイントを確認してみます。

【例】所沢高校(普通科)の一次選抜

  • 内申点比率 1:1:2
  • 傾斜配点 あり(数学・英語2倍)
  • 学校選択問題 あり
  • 第一次選抜の割合 70%

【例】所沢北高校(普通科)の一次選抜

  • 内申点比率 1:1:3
  • 傾斜配点 なし
  • 学校選択問題 あり
  • 第1次選抜の割合 60%

補足|「共通選抜」「特色選抜」という言葉は気にしなくてOK

埼玉県教育委員会の資料を見ると、「共通選抜」「特色選抜」という言葉が出てきます。しかし、これらの言葉は気にしなくてOKです。これらの違いは、これまで説明してきた学力検査・調査書・面接の配点の違いにすぎないからです。

イメージとしては、

共通選抜 = 県が決めた「標準の計算式」

特色選抜 = その高校が「独自に決められる計算式」

で合否が決まります。

ただ、どちらの選抜も、学力検査・調査書・面接の点数で合否が決まり、第一選抜と第二選抜の二段階で決まることに変わりありません

そのため、受験生が自分で「どっちで受ける」と選ぶものではなく、高校側が「うちはどちらかの計算式を使って合否を判定しますよ」とあらかじめ決めているようなイメージになります。

結局は、先ほど確認した4つのチェックポイントを見れば大丈夫です。


2026年1月時点から見た今後のスケジュール

  • 記事作成時点(中2・1月):学年末テスト対策、志望校の暫定確認
  • 2026年3月:中学校向け説明会
  • 2026年5月:選抜実施内容の確定版発表
  • 2027年2月25日・26日:学力検査・面接本番

まとめ

令和9年度(2027年度)から始まる埼玉県公立高校入試は、制度が大きく変わったように見えるかもしれません。

ただ、ここまで見てきた通り、入試の評価軸そのものは、次の3つに整理できます。

  • 学力検査(当日のテスト)
  • 調査書(中1〜中3の内申点)
  • 面接

この3要素で合否が決まる、という大枠は非常にシンプルです。

また、R9年度入試からは以下の点が変更となります。

  1. 国語作文の廃止
  2. マークシート方式の導入
  3. 調査書から課外活動の加点がなくなる
  4. 全員面接の実施

何を見ていいか分からない人もいるかもしれませんが、押さえておくべきポイントは、

  • 内申点の比率はどうなっているか
  • 傾斜配点はあるか
  • 学校選択問題の実施校か
  • 第一次選抜の割合

以上の4つがポイントになります。こうした情報整理を早めに行っておき、志望校に合格できるように今のうちから準備を進めていきましょう。

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この記事を書いた人

百瀬 浩市のアバター 百瀬 浩市 個別進学塾TaNe 塾長

埼玉県立所沢高校を卒業。現役で東京農工大学工学部に入学。(その他、東京理科大学理学部、明治大学理工学部、芝浦工業大学工学部、東洋大学理工学部にも合格)。大学在学中に大手予備校にて指導経験を積む。
大学卒業後、地元の個別指導塾にて教室長を務めたのち、理系のための大学受験塾SoRaを立ち上げて現在に至る。

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