高校数学でつまずいた人の勉強戦略

1本目の記事では、高校数学でつまずく理由を整理しました。

今回はその続きです。
高校数学でつまずいた人が、どう立て直していくのか。
その考え方を解説していきます。
その前に、まず前提を確認しましょう。
【前提】中学のときのように全部やるのは無理
中学のとき、定期テストや受験勉強、部活など、
いろんなことに全力で取り組めていた人ほど、
高校に入ってからのギャップを感じやすいです。
特に、偏差値60前後以上の子たちは、
中学では、勉強に強い苦手意識を持っている子はそれほど多くなかったはずです。
しかし高校に入ると状況が変わります。
- 数学の分量が激増する
- 科目が細分化されて、定期テストが一気に重くなる
- 部活で帰宅が遅くなり、疲労がたまる
- 通学時間が長くなり、机に向かう時間が減る
このように、中学のときと同じように、すべてを回すのは難しくなります。
特に、コツコツと量を積み重ねて学力をカバーしてきたタイプほど、
高校ではその“量”を確保できなくなります。
中学の時はワークを何周もしてできるようにすれば良かったけれども、
高校に入った途端、そんな時間はなくなった。
気づけば、授業についていけなくなった。
こういったケースは珍しくありません。
実際、私の体感として、偏差値60前後の高校では、
定期テストも模試も安定して上位を取れる層は上位10%程度。
下位40%は、定期テストで点を取るので手一杯です。
つまり、多くの子が、高校に上がった瞬間に、
これまでのやり方が通用しなくなっているのです。
それなのに、中学の感覚のまま
「全部頑張ろう」とすると、必ず無理が出ます。
さらに周りの大人から
「中学のときはできていたのに」と言われると、
余計にきつくなります。
「頑張りたい」
「でも、何をどう頑張ればいいのか分からない」
そうやって抜け出せない泥沼に入っていきます。
では、そこから抜け出すためには、
どうしたらいいか。
その方法は、
優先順位を決めることです。
優先順位を決めるということは、
「やらないことを決める」ということでもあります。
中学までは何でも及第点以上を取ってきた子ほど、
ここに強い抵抗があります。
ですが、勉強時間を中学のときほど取れないという構造上の問題を抱えているケースが多いのは、先ほど確認したとおりです。
だからこそ、
何をやらないか。
戦略的に撤退する。
というのが重要になってきます。
その代わり、力を入れると決めたことには集中すれば良いのです。
これが、高校数学を立て直す出発点になります。
では、どうやって優先順位を決めるのか。
その判断基準が、次の2つです。
判断軸①:大学受験で数学を使うか
優先順位を決める最初の基準は「出口」です。
高校の出口は大学受験になります。
もちろん、専門学校や就職という選択肢もあります。
ただ、高校数学の立て直しという文脈では、大学受験が大きな軸になります。
まず考えるべきは、
大学受験で数学を使うかどうかです。
一般入試で使うのか。
使うとしたら、
数ⅠAⅡBまでか、数Ⅲまでか?
使うとしても、
推薦入試などの学校の評定のみか?
このように数学をどの程度どのように使うかで、
戦略は大きく分かれます。
とはいえ、高校生の段階で
理系か文系か、国公立まで視野に入れるのか、
明確に決まっている人はそれほど多くありません。
入試形式についても、
高1、高2の段階で、推薦一本でいくと決められている人はほとんどいないでしょう。
だからこそ、一度志望校を真剣に検討して、
どういう未来(選択肢)があり得るのかを考えることが大事です。
一番有り得そうな未来を想定することで、自ずと優先順位が見えてきます。
たとえば、志望校が早期に決まれば、今は学校の勉強を頑張ればいいと割り切ることができたり、
受験勉強を早期にしないと間に合わなそうだなといった優先順位が見えてきます。
一方で、「あらゆる可能性を残したい」となると、
結局すべてを頑張る必要が出てきます。
かなりの器用さと時間が求められますので、
ジリ貧になってしまう可能性があります。
判断軸②:学校の授業についていけているか
もう一つの判断軸は、
学校の授業についていけているかどうかです。
ここでいう「ついていけている」とは、
- 授業を聞いて理解できる
- その内容を使って自力で演習できる
この2つができている状態です。
たとえば、三角比の加法定理を学校の授業で習ったとします。
授業を聞いて概要を理解する。
そのうえで問題を解き、解説を読めば整理できる。
この状態まで持っていければ、授業は有意義な時間になっていると言えます。
学校の授業時間は、
勉強時間をあまり確保できない高校生にとって、貴重な時間です。
放課後に十分な勉強時間を取れない以上、
授業内でどれだけ理解できるかが重要になります。
さらに言えば、授業中にある程度演習まで進められれば、もっと他のことに時間を割けられるようになります。
そういった状態を目指して授業についていけるようにしたいところです。
一方で、「ついていけない」状態についても、いくつか段階があります。
- 先生が何を言っているか分からない
- 授業は理解できるが、問題演習になると手が止まる
- 理解しているつもりだがテストになると点数が取れない
段階ごとに対策は変わりますが、
授業を有効活用できる状態にすることを目指すのは変わりません。
具体的な策は次の記事で述べますが、
どの段階で躓いているのかをまずは認識することが、
授業を有効活用できるための第一歩となります。
この2軸で戦略は決まる
- 大学受験で数学を使うか
- 学校の授業についていけているか
この2つの軸を組み合わせて考えることで、何に力を入れていくか、何を優先順位高く持っていくかを決めやすくなります。
① 授業についていける × 受験で数学を使う
この層の子たちは、受験勉強を積極的に進めていきたいです。
特に、受験の数学のレベルを少しでも早く知っておくことが重要になります。
学校の授業についていけても、
定期テストや進研模試などの学校の模試と、
大学入試では問題の難易度にレベル差があります。
たとえば、偏差値60程度の高校の定期テストや進研模試では、
教科書の章末問題くらいのレベルを上限として問題が出題されます。
しかし、共通テストや難関大の入試問題は一段階、二段階と難しくなります。
(正確には、共通テストは難しさのベクトルが違う感じです)
そのため、定期テストや模試で点数を取れていたとしても、
実際の入試問題では全く歯が立たないなんてことがよく起きるのです。
だからこそ、早くに受験のレベルを知っておくことで、
学校の定期テストや模試の問題の難易度は通過点に過ぎないと
身構えることができます。
その最終到達地点を知っていれば、
長期休みに受験に向けた準備を進めていくこともできます。
学校の授業についていけているからこそ、
多少なり余裕があるはずなので、
その余裕を活かしてちょっと先を見ることが重要になるのです。
② 授業についていける × 受験で数学を使わない
受験で数学を使わない、けれど学校の授業についていけている人は、特に大きな問題はありません。
そのペースを維持していきましょう。
ただし、推薦を視野に入れているのか、それとも私立文系の一般受験を考えているのかで、
学校の数学に対しての取り組み方が変わってきます。
一般受験で数学を使わない場合、定期テストの数学は入試には直接関係しません。
そのため、最低限の労力で安定して点数を取りつつ、英語や国語などに比重を移していくのが合理的です。
他の科目の受験勉強にまで手を回せる労力を残しておくのがポイントとなります。
③ 授業についていけない × 受験で数学を使う
この層が一番大変です。
授業についていけないけれど、受験で数学を使う場合、
まずは学校の授業についていける状態を目指しましょう。
というのも、授業が理解できていないのに受験勉強を進めるのは、かなりしんどいからです。
何度も言いますが、学校の授業が占める時間は、高校生にとってはかなり大きいです。
授業以外の時間で、自分で内容を理解しようとするのは、もったいない時間の使い方です。
しかも、数学の公式などの知識は得ただけでは使えるようになりません。
問題演習を通じて知恵へと昇華させることで、大学入試の数学へも繋がっていくのです。
そのため、まずは学校の授業の復習をして、学校の授業についていけるようにすることが最優先となります。
- 授業でやった問題を解き直す。
- 先生の説明を自分なりに再現してみる。
こうした手順を踏んで、学校の授業に徐々についていけるようにすることが大事です。
それをやるだけでも大変ですが、
さらにそこに受験勉強までやらねばなりません。
あまり現実的ではないですよね、、、
受験勉強は長期休みにやれるかが勝負になります。
特に復習を頑張りたいところです。
数学は積み重ねの科目です。
たとえば、数ⅠAを理解していなければ、数ⅡBの問題を解くときに数ⅠAで出てくる処理でつまづきます。
長期休みのときに、
普段の学校の授業にもついていきやすくするためにも、
一般入試で数学を使うなら受験勉強へ接続していくためにも、
復習メインで受験勉強をしておきたいわけです。
④ 授業についていけない × 受験で数学を使わない
学校の授業についていけなくて、受験でも数学を使わない場合には、 学校の授業についていけるように、日々の復習をしていくのが理想です。
ただ、おそらく④に当てはまる子は、数学は受験でも使わないために、数学を勉強するモチベーションを高く保つのは難しいと思います。
そのため、本当に必要最低限のことに絞って、これだったらできそうと思えるものに絞ることが大事です。
たとえば、学校のワークなどをやるのではなく、教科書の例題だけをやって、最低限教科書の問題だけはできるようにしてもいいと思います。
そうやってやることを軽くして、少しでも取り組みやすくすることが重要です。
ただ、どうしても数学をやるのが難しい場合もあると思います。物理的に時間をとることが不可能だったり、いろんな科目を器用にこなすのが難しかったりする子もいます。
そういった子は、最終手段として、「進級できれば良し」と考えて最低限、定期テスト前だけやるのもありだと思います。
まとめ:優先順位を決めることで高校数学は立て直せる
高校で苦しくなる最大の原因は、中学と同じ感覚で「全部やろう」とすることでした。
高校では、努力の量だけでなく、取り組む優先順位の決め方が大事になります。
優先順位を決めるうえでの判断軸は、
・大学受験で数学を使うかどうか
・学校の授業についていけているか
この2つです。
これらをもとに考えれば、自分の立ち位置と取るべき戦略が見えてきます。
次の記事では、
・高校数学を立て直す定期テストの勉強法
・大学受験の数学へとつなげる勉強法
を具体的に解説します。